北九州市・下関市~関門ジギング~

これは「サラリーマン人生」を掛けた釣り物語。ジギング1本で社長と対決、ハードコアなリーマン人生を追った。

【激アツ】天国モード確定

2018.07.14 大潮

暑い。さすがに暑い。余裕で35度を超える予想である。結果だけ見ても関東で40度近い気温を観測したような状況だから普通の神経なら釣りなどとんでもないのである。

「今週は見送るか」

金曜日の昼下がり、この異常気象のような暑さに対して我が鮮魚事業部も未だかつてない異例の決断を下した。

翌日の土曜日の釣行について鮮魚事業部の会議が社長室で隠密裏に開催されていたのだけど、さすがにこの暑さはヤバいだろうという判断。私もそう思っていたし、熱中症は油断してはいけない。室内で亡くなる方だっているくらいだし確実に日本中で気温は上昇している。「昔は30度なんかめったに超えてなかったけどなあ」と今月75歳になるオヤジも言っていた。その昔とは50~60年以上の昔を刺すと思うけど、確実に地球温暖化は進んでいるのだ。このままあと50年も経つと40度超えなんか普通になるんじゃないかと我が子たちの将来を気にする日々。
つまり、社長の「釣りは見送る」判断は適正と言うか常識であり、決して責められるものではない。むしろ社長以外は私も含め、素人集団の鮮魚事業部にとっても英断だろう。

「じゃ、中止で」

鮮魚会議終了後、席に戻って通常業務に戻った時、ふと我に返る。

(お?ちょっと待てよ?・・・となると久々にエアコンの効いた部屋でのんびり過ごす?それも決して悪くないし、そういえば土曜日の午前中と言えば、妻と子供達はバレエのレッスンとか行ってるじゃないか!これはつまり一人でのんびり、ゴロ寝や読書などに充てれる「天国モード確定」で、つまりはうししし、という事じゃないか??)

「天国モード確定」いや~いい響きだ。戦士もたまには休息が必要だし、灼熱地獄の中で釣りなんかしちゃいけないっすよ、無理はダメ、絶対。コレほんと。エアコンガンガン、ナニして過ごそっか、うしししし・・・(^^)


(ぷるるるるる)


社長室から内線が鳴る。

 

「うんとな、朝2時か3時に迎え来い」

 

・・・え?( ゚д゚)ポカーン

 

「朝マズメに釣って暑くなったら帰ろう」

 

・・・あくまで人命が最優先。となると深夜集合、涼しいうちから暑さ限界まで釣ったら解散というプランを思いついた社長が瞬く間に「天国モード」を「地獄モード」にスイッチ。天国から地獄とはまさにこの事かもしれない。間違いなく厳しい釣りになる事は予想されていたけども、社長は行く気満々、既に「海の男モード」に変わっていた。つまりこれは何を言っても行く事は決定されている。そう、これは「決定事項」、つまり「何も言えなくて・・夏(サラリーマンver)」という事である。


「2時でもいいぞ」

「いや、3時で。海、暗いっすよ」


そしてこの場合、私は深夜1時過ぎに起きてお迎えに上がる事になる。というか普段いつも寝る時間じゃねーかw
船も真っ暗な中で出船、闇夜を照らす満月だったりするならまだしも新月で真っ暗闇の大潮だ。このムチャぶり、これぞまさに鮮魚事業部の真骨頂。私としてもどうせ行くなら最近大物と格闘してないからデカマサをぜひ釣りタイ。この際、行くなら本気モードだぜ!という事でロクに睡眠も取らず灼熱の白島沖とタイマン決定、もちろん勝つのは俺たちだ。

睡眠もロクに取らずに灼熱の海で釣り。睡眠もロクに取らず灼熱・・睡眠もロクに取らずに・・・。この時はまだ地獄への片道切符を握りしめていた事に気付いていなかった。

「おはようございます!」

イケメン青山テトラくんも本日のイケニエの一人。聞けばほとんど寝てないようだし、社長も10分くらいしか寝ていないという事でオール寝不足な役者は揃った。

真っ暗な中、白島沖を目指す。

さながら密漁船か某国の工作員船気分だ。悪い事していないのに悪い事している気分になるのは本当に真っ暗だからだろう。別に盗んだバイクで走っているワケじゃないけど暗い海での海の運転は本当に神経をすり減らす。車のヘッドライトみたいなものがあるって思っている人もいるだろうけどそんなものは船に付いていない。もちろん普段よりスピードは落としているけど、あまり遅いと朝マズメに到着できずに社長に怒られてもアレだからボチボチ飛ばす。左舷に社長、右舷にテトラくんが立ち、目視で異常事態があれば知らせてくれけどそれでも真っ黒な潜水艦なんかにぶち当たった日には沈没しちゃうから全神経を船の操船に注ぎこむから気疲れは半端ない。まあ潜水艦なんかめったに見ないけど(笑)

途中で通過する鬼門の白洲灯台(岩場だらけで危険)の近くは干潮だった事もあってこれでもかってくらい遠回りして回避し、いよいよ到着、白島沖57mゾーンの現場に無事到着。

 

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金星がキレイだ。夜の操船はかなり気疲れするのです。

 


そしてやっぱり「持ってる」男、社長にイキナリキタ━(゚∀゚)━!オープニングはインチクの社長!いきなり来たぜ!竿がグイグイ曲がっている!うひょー!なんじゃらほい!?竿が胴元までギュイーンと曲がってる!楽しそー!とか言ってた矢先に痛恨のバラシ。社長、イカ釣りの時もそうだったけどやっぱりここは夢がありますね。その時もバレちゃったけど(笑)針に付いてたウロコを見ると鯛ではなかったけど青物でもないようだ。アラとかの根魚でもないし、なかなか謎が深まるオープニングヒットだった。

※針の返しが折れてしまっていたらしい。残念!

「最初で最後の一発じゃなかったらいいすねえww」

などと口には出さないつもりが思わず言ってしまった。「朝一イッパツその後マッタク」ってのはよくあるパターンだけどその後、そのセリフが重くのしかかる事となる。そう気温の上昇とともに・・・。

 

気付かないうちにグツグツと地獄の窯は開きかけていたのだ。

 

エソ地獄・ムフウ地獄

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気が付けば釣れる魚はエソばかりの「エソ地獄」に陥っていく我々。たまにイトヨリが混じるがこれはもはや釣りではない、ガマン大会だ。

 

普段なら天気予報を大きく裏切って吹きまくる風も今日ばかりは逆に吹かない。風速2~3で多少は過ごしやすいかと思いきや、シーアンカーがまったく意味がないくらい、むふうムフウ、無風。見事にいつも通り天気予報は安定のハズし。

 

暑い、とにかく暑い。

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じりじりくる日差し、だらだらと流れる汗、そして最強の眠気が「デカマサ釣りタイ」という私の心と体を侵略し始める。それでもジグはせっせと動かさないといけない。本日のレコードホルダ-は社長が釣った40センチくらいのイトヨリ。あとはエソ、エソ、エソ、エソ。

 

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※社長が釣ったイトヨリ、持っているのはイケメン青山テトラくん。この時はまだ涼しかった。

 

朝の8時を回った時点で社長が戦線離脱、そんな時間で既に日差しは強烈で暑く、汗が止まらない。というより社長は眠そうだ。そりゃ10分くらいしか寝てなかったらヤバいでしょ・・・。そして私とイケメン青山テトラくんはまだ見ぬ大物を求めてジギングに必死だけど、それをあざ笑うかのように容赦ないムフウが我々を襲う・・・というかむしろ襲ってくれ!風くらい吹いて!風速2~3って言ってたやんか!いつも天気予報当たらんクセに!あ、いや、いつも通り当たってないのか、それにしても無風はイヤよ。そのクセに大潮なもんで潮の流れが速く、最低でも120gのジグじゃないととてつもなく流される。

そして朝9時をもうすぐ回ろうかという時だった。

「帰るかー」

我に返った納竿の合図。暑い、釣ってない、暑い、デカいの釣りタイ、暑い、エソとイトヨリ以外を釣りたい、ガツンと釣りたい、暑い、暑い。さすがの釣りバカ青山テトラくんも「帰って寝ます」状態だし、ここはもうあっさり帰りましょう、そうしましょう。一日粘ったって釣れる気しないっす。

 

結果、イトヨリ4匹、エソたくさん。これが睡眠不足、流した汗、焼けた素肌と命からがら帰ってきた今回の結果だった。

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※Daiwa ヴァデル4000h投入。エソごときぐんぐん巻けます。

新品リールとか竿とか投入した時っていっつも釣れないのは気のせいかなあ。


さて、そしてそう私はここからが本番。寝たい、暑い、日焼けが痛い、車の運転すらキツイという私に家族サービスという名のお仕事が待っている。さあ帰ろう愛する家族が待つ家へ。軽自動車をかっ飛ばして一路自宅へ向かったが猛暑でエアコンの効きも悪く、とにかくいったん体を冷やしたい私は近所のパチンコ屋の屋根付き駐車場に突入したところで気絶するかのように夜の22時過ぎまで寝てしまった。

 

おとさんうそつき」(長女)

「うそつきー」(次女)

「うきー」(三女)

 

ゴゴゴゴゴ(゚Д゚#)(妻)

 

この日を境に、回復傾向にあった父親としての威厳・尊厳・発言権、つまりは「存在価値」を再び消失。単なる呼吸するATMへと降格した。

 

何も言えない、いや何も言えるワケがない。

 

何も言えるワケなくて、夏。(うちの家族ver)


やっぱりクーラーの効いた部屋でゴロゴロしとくほうが色んな意味でいいと思いました、いやコレほんとよ。今年の夏は尋常じゃないよ、みなさんご注意を!

 おわり。