イカん砲炸裂。誠に遺憾ですイカ釣り2019
2019/07/5(金)
長文となります。これはサラリーマンプロ漁師として残しておかなければならない備忘録・・・。「備忘録」ってメモって事らしいんだけどねw
「今週行くんですか?」
「行く!」
無邪気な少年のように即答する弊社の代表。もう何があってもイカ釣りに行くと行ったら行くんだい!って感じのモードになっていた。
それもそのハズ、直近の天気にしてはなかなかない好条件の天気予報が出ていた。
オール1である。通信簿では最低だけど、釣りならバッチリ、超優秀な予報だ。
ただ・・・私には懸念がひとつ。。
(低気圧の風速1は・・・・うーん。)
相手は深夜。つまり一晩中である。日中に出るのとはワケが違うし、経験上、低気圧時の風速1は海の上はだいたい3くらいになるのである。高気圧に覆われている時はだいたい天気予報も当たる。それらは偶然かも知れないけど。
しかしそんな私ごとき浅はかな経験値上での不確定要素で、会社トップが下した最重要決定事項であるイカ釣りを止める事はできず、むしろ何があっても止まらないイカ釣りを止める気もない私達は食料や水を買い込み、準備を終えた。去年は異常に釣ったイカゲソ先輩が今年も大爆発するのか、それとも熟練の社長が貫録を見せるのか・・・色々楽しみだ。(ネタ的に)
さて夕方のうだるような暑さの中、寒さ対策の冬用のインナーをそそくさと持ち込む。前述のように低気圧の風速1は3だろうとの「予感」があったからだ。
そして夕方16時。社長号は各種の準備を終えて出航となった。
ついに今年も始まってしまった・・・。いったいどんなドラマが待ち受けているのだろう・・・。イカ釣りミッション開始である。
社長・イカゲソ先輩・私の3名、いつものメンバーと言えばいつものメンバーで経験値も豊富。何度もイカ釣りには行っているし、一番に眠くなっちゃうのはイカゲソ先輩で、社長は基本的に朝まで元気。私は調子がいい日と調子が悪い日があるけど、この日は破天荒の予感もあって前日はバッチリ寝ていたので調子がいいと見た。
さらに正直言って、船が豪華になった分、寒けりゃ船室に逃げこみゃいいし、暑けりゃエアコンだってあるのだ。こんなに余裕なイカ釣りはないだろうという油断、慢心がないワケでもなかったが、案の定、尋常ではない事態にさらされる事になる。
後半へ続く(ちびまる子ちゃん風)
さて、この日の主戦場・・・と言ってもいつもの白島沖に到着。まずは夕マズメで魚釣り。早速、この前買ったマリアラピードさんのお試しタイムだ。
面倒だったのでキャスティングロッドは出さずにジギングロッドで試してみたけど体感風速3程度の風に乗ってかなり飛ぶよ、このラピード。50gで不安だったけど、バンランスがいいのかな?キャスティングロッドはいつかゆっくりやれる日に出すとしてもこれはなかなかいいんじゃない?
操作の方もとにかく軽い。ちょっと引くだけでスイッと潜る。長めのほうき引きだと水面を飛び出して滑っちゃうので軽めにちょいちょい引くだけで良さそうだ。
(こりゃあラクちんでいいかも)
と思ったくらいでこの日はノーヒットである。強い風のおかげか高い波に邪魔されてかお魚の姿すら見えなかった上、揺れる船でおっとっと、おっとっと、を繰り返し、早いタイミングでふくらはぎにダメージを蓄積してしまった。なんてこった。
高い波に強い風。一向に治まる気配がない。しかしながら船首で肉体労働を繰り広げている私と違って、イカゲソ先輩が用意した折畳みイスのおかげでお二人ともラクちんのご様子。そんな感じで社長とイカゲソ先輩はジギングとタイラバをしているのだけど、とても本気でやっているような雰囲気ではない。
「お前、それ、釣れんやろーw」
といういつものセリフをいただいて、社長がラクちんなイスに座ったままタイラバで鯛(30センチ)を釣って魚釣り終了。集魚灯を海に投入してしてついに怒涛のイカ釣りに突入だ。
社長とイカゲソ先輩はスッテを5~6個つけるイカ釣り仕掛け。しかも社長は電動リールをスタンバイし、イカに対する熱い情熱を感じさせる本気モードだ。一方私はいつも通りイカメタル(重たいスッテ)1本でのんびり釣ろうって魂胆である。スッテがごちゃごちゃ絡まるの嫌いなんすよね。
そうこうしているうちに辺りはだんだん暗くなり、夕ご飯を食べ終えた辺りで今夜を占うような怪しい異変がいきなり起きる。
(あれ?)
(イカゲソ先輩、もう寝とるw)
本人はバレないように寝ているのだろうけど、ご飯を食べるや否や眠くなっちゃったようだ。まだ20時でっせ。小学生か。こんなんじゃ一晩中もたないっしょ。
「あ、いや、船が大きくて眠くなってしまったです」
話しかけられて慌てて起きたイカゲソ先輩は眠いのは船のせいだという事にして、寝ながら竿を握っている。
「しかし釣れんな・・・」
魚探を見ると海の下では小魚たちの大運動会が始まっている。写真に収めるのを忘れてしまったが、王冠を被った大型魚を示す魚のアイコンもバラバラ出ている始末だ。
そんな状況でもとにかくイカは釣れないのだ。
「王様にイカが食われてんじゃないっすかね?w」
本当にこの辺り一帯のイカは全滅したんじゃないかってくらいイカのアタリはない。あまりに釣れない状況と王様のアイコンが出ている事もあって、社長は船の先端でタイラバを始めてしまった。
そんな時・・・
均衡を破ったのはやはりこの男!待望の1杯目がついにキタのである。
半ズボンで寝ながら釣り竿を握るイカゲソ先輩だった!イカゲソ先輩、去年に引き続きイカ釣りだけは絶好調なのだろうか。
散々スミをばらまき、写真を撮る間もなくなれた手つきで水槽に収まったイカはとても小さいヤリイカ(小)であったがとにかくイカが釣れる事はわかった。
「寝たフリで気配消したのが良かったね!」
→いや寝てたし。
あくまで寝ている自分を肯定しつつ自信満々のイカゲソ先輩に鼓舞されるように社長も再びイカを目指して頑張るが、水深10mくらいのタナに重たい電動リールは必要なく、「疲れた」という事でラクなスピニングリールに変えていた。
それから2時間。
「釣れんな・・・」
また釣れない時間が続くが、ようやく社長のロッドがビヨン!ビヨン!というアタリ!ついにお刺身サイズのヤリイカをゲット!その後も1時間に1杯のペースで釣れ出した。そのイカを刺身にして食べたのだがやっぱり船上イカ刺しは最高である。
そして夜23時付近になると寝たり起きたりのイカゲソ先輩がついにダウン。疲れ?船酔い?眠たいの?いやいや・・・違う、とにかく寒いのだ。
めちゃくちゃ寒い。ずっと吹き続ける3m~4mの風は天然のクーラーと化し、半ズボンの小学生イカゲソ先輩を直撃した。
レインコートを中に着込んでも直撃する冷風をかわす事は出来ず、体温を奪われていく。
ただでさえ黒い顔色がさらに悪くなったイカゲソ先輩に「お前、ちょっと寝とけ~」と社長が暖かい判断を下す。
船室でダウン1号は予想通り、イカゲソ先輩。ある意味レコードホルダーである。
(そこから延々と寝る事になるのだがそれもいつもの事だ)
それから社長が5杯ほどのヤリイカを釣り、そのイカの遺憾ともし難いイカん砲が私の股間に直撃してイカんともし難いピンクな写真が撮れていた。
しかも写真アプリのSNOW(スノー)は入れてないのに何故だかピンクになったり耳が生えていたりしていた。こんな機能が付いてるのね最近のスマホって。
さて、私も冬用のインナーを着込んだところでとてもガマンできる寒さではなく、社長から高級レインコート(ダイソー)をいただいて着込んだり、船室と外を行ったり来たりしながらイカ釣りを続行し、ついに私のイカメタルにも手のひらサイズのイカが釣れ、マンガみたいにブシャー!と顔面に遺憾砲を浴びたりしてもう寒いのか楽しいのかツライのか眠いのかワケがわからない状態になって行く。
しかし本当の怖い思いをしたのはここからだった。寒いと逃げ込んだ船室は暖かい天国。部屋に入るや否や一気に睡魔に襲われてしまうあの感覚がすごかった。
(ほっ、あったかいなあ・・・・・あ、寝るな!寝ちゃいけない!外に出るんだ!・・はあ、暖かい~えっと、ここどこだっけ?気持ちいいな~もう少し、、、あ、つゆだく大盛りはダイエットしてるしな~、あれ?夢見てる、俺、アレ?あ、意識が)
こんな感じで私がお亡くなりになりそうになったところでサラリーマン根性炸裂。うおりゃー!と気合で起きて社長に先に寝ていただこうと冷房がガンガンに聞いた外に出る。
「ちょっと寝てください~。私は(外にいる限りは多分、寒くて寝れないので)元気ですから!」
という事で社長を先に船室へ。社長はぐっすり寝ているイカゲソ先輩を叩き起こして見張り番に任命。
「お前も寝ろ」という事で私も横になる事に。
船室に入る。暖かい船室とそれに包まれる安堵感。船の命運その全てをこの男、ぐっすり寝て元気モリモリなイカゲソ先輩に託し、横になるや否や・・・私は即死した。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・
(あれ?)
まわりを見るとうっすらと明るいぞ。夜が明けかけている。激しい揺れで何度も台座から転がり落ちそうになったけど一時間半くらい寝てしまったようだ。
(あれ?)
(あれれ?)
見張り番のイカゲソ先輩は「僕チン、寝らずにがんばって見張ってます!」って感じでじっとイスに座っていたハズだが・・・・。
(あ、寝てる)
首が折れそうなほど顔面が上を向いているwwww
ほんのちょっとの時間とは言え、全滅したクルーを乗せた船はまるで映画のように高い波に揺られながら漂流していたのかも知れない。
朝日が昇り出し、朝6時を迎える頃、ようやく風がやんだ。14時間近く吹き続けた風もようやく治まり、ついに待ち望んだの釣り日和となったのである。
まばゆい朝日に映し出される海上自衛隊の皆さまに敬礼。
私は再びラピードを取り出し、朝マズメキャスティング。大変、贅沢な状況であるがほぼ14時間、強風に吹かれ続けた我々はすでにヘロヘロで、朝マズメに釣りはしているけど、もはやこんな状態で釣れたところで釣れた魚をどうしろと言うんだって状態になっていた。
そんな中でも社長がアコウを釣り、それが合図と言わんばかりにこの戦いも終了となる。
社長が4杯ほどのイカをお持ち帰り、釣れた魚は元気だったのでリリースして帰港した。
とりあえず、七夕時期のイカ釣りは3年連続でヤバい事になった事になる。去年は西日本九州豪雨でしたね。それでも行ったんだけども。
我々のイカ釣りは・・・意地とプライドと体力勝負。社長、そろそろピチピチ元気な若い社員、連れて行きましょう~。そしてコキ使いましょう~。
あ・・・イカゲソ先輩、ちっちゃいイカ1杯しか釣ってないっすよ。
あ、そういや私もやん。
・・・まさに社長の懐刀的な我々二人。
かなり役に立つメンバーな事請け合いです。
おわり